歴史を知り、現代を知る
「日本人は主体性がなく集団主義的だ」、「日本人は空気を読んでばかりだからイノベーションを起こせない」、こんな事をよく聞く。あるいは「今の若者は欧米化されていて日本の心を失っている」なんていう人もいる。
しかし、果たして日本人とは一体どういう民族なのか。そしてそこに必然性があるのか。実は未だに確かな答えは無いのだが、そのヒントは過去の歴史の中にしかない。日本や日本人についてあれこれ言いたいのであれば、歴史について最低限の知識が無ければ話にならないのだ。
とはいえ最近は趣味で歴史を学ぶ人も多く、大河ドラマはどんな時代でも高い視聴率を維持している。つまりみんな日本人のルーツや来歴が気になっているし、ハンバーガーを食べ金髪になっても、日本そのものへの愛情が消えるわけではないということだ。
このサイトでは、石器時代から戦国時代まで、つまりもっとも私たちがリアリティを持ちづらい部分を抽出して簡単にまとめている。中学・高校時代には全く興味を持てなかった日本史も、年齢を重ねてから勉強すると新鮮な驚きに満ちていることがある。これをみて興味を持った事象があれば、是非本格的な資料にあたり、日本への理解が深めていただけたら良いと思う。
歴史から日本人らしさを知る
日本人はよく、その精神性を褒められる。礼儀正しさや誠実さ、親切さや協調性の高さ。あるいは逆境に負けない気概や想像力の高さなど、日本人の感性は美徳であるとして語られる。そして、これらの感性は間違いなく、日本の独特な歴史に端を発したものだ。日本人は無意識のうちに、日本という土壌の中でそうした感性を身につけている。
しかし、長年の欧米化に伴い、その感性は徐々に失われつつある。私たちは、今、大事なものを失おうとしているのだ。一方で、外国では最近、日本の伝統が再評価されている。いわゆる日本ブームだ。外国人は日本人の精神性を始め、その文化を必死に取り込もうとしている。日本人より日本人らしい外人が増えているのだ。日本文化を蔑ろにして欧米文化に傾倒する日本人と、日本人よりも日本文化を大切にする外国人。日本では今、奇妙な構図が出来上がっている。
その、そもそもの発端となったのは、第二次大戦後の急激な欧米化だ。敗戦後、私たちは“先進国になること”を求められた。その中で、自分たちの文化をなおざりにしながら、欧米諸国の文化を必死に取り入れてきた。その甲斐あって、今では、立派な先進国として認められるようになった。
しかし本当に問題なのは、私たちの中に、諸外国を見習わなければならないという気持ちが根ざしてしまったことだ。繰り返すが、日本はもう先進国の一つである。それならば、日本が諸外国に右に倣えする時代は終わったのではないだろうか。日本の素晴らしい歴史と伝統を見直すターニングポイントに、今、私たちは立っているのではないだろうか。
改めて見回してみれば、日本の伝統がいかに素晴らしいものであるかに気がつくはずだ。しかし、私たちはただ、それを見つめ直すだけでは十分ではない。周りの外国人と同じように自国の歴史と伝統について、今一度学び直すべきではないだろうか。日本人らしさとはなんなのか、何を大事にするべきなのか、歴史を省みながら、今一度自分に問い直して欲しいと思う。